「…意味、わかって言ってる?」



「えぇ、勿論」



言って、彼女はピンク色のフワフワとしたドレスをはためかせながら、用意を始めた。


お気に入りの、白猫のポシェットを肩に掛けて、お出かけ用の真っ赤な靴をその小さな身体を伸ばして棚から下ろすと、履き替えた。


僕と二十歳は違うソウェルは、今年で五歳。


その割にはもうアルファベットを理解できるし、単語だって有る程度知っている。


辞書の引き方も、文章の読み方も。


言ってしまえば彼女は五歳にして、聡明なのだ。


下界を遮断して本ばかり読んでいた所為で。