第43世界シュウラン、サンレーベル帝国のウーラン村に1人の赤子が産まれた

その赤子には何かに切り落とされたかのように左手首がなかった










ライアーは騒ぎ立てる人々の声で目を覚ます

少し様子を見るためにライアーは魔眼の起動していない左目をうっすらと開けた

「@%#&##@×……!!」

ライアーが耳を澄ますと言葉がだんだんクリアになっていく
それはライアーの知っている世界の言葉ではない
だがライアーには何故かきちんと聞こえるようになっていた

(そうか。これが全言語理解の力か)

ライアーは1人満足気に頷いた

「赤子…だがこれは…」

「この赤子には手首がない!これは忌み子だ!」

「だからといって殺すのは違うでしょ!?せっかく産まれてきた子供なのよ!それを殺すなら私があなた達を殺してやる」

「しかしだな」

「村長!この赤子は危険です!それに髪の毛も真っ黒。きっとこれは悪魔の子だ!そうに違いない!」

「例え悪魔の子だとしても俺達の子には変わりない。他人が気安く口を挟まないでくれ。俺の理性が切れない内にどこかに行ってくれないか?」


じゃないと殺してしまいそうだ


そう続けたライアーの父と思われる男性の剣幕に気圧された男性は舌打ちをして出て行った

(成る程ね。今の会話から僕はきっと忌み子なんだろう。それから僕の父と母は僕の事を愛してくれているようだ。父も母もなかなかに美形だな。父は茶色の髪に金色の瞳、母は焦げ茶色の髪の毛に翡翠?の瞳の人だろう。多分。確証は無いけど。あぁそうか。こういう時に知の魔眼を使ってみればいいのか)


ライアーは目を開いた

その瞬間目が焼かれたような感覚になった



情報という炎に焼かれた

見渡す限りの文字文字文字文字
ライアーが見たもの全てを説明している

ライアーの瞳に驚く程の情報が映っている


また、ライアーの特殊技能(ユニークスキル)には瞬間記憶という物がある
見たもの全てを記憶する技能(スキル)

それはライアーの魔眼に映っている情報全てを記憶していった


その結果
脳が悲鳴を上げてライアーの体を蝕み、耐えられなくなったライアーがショックで意識を失うのは当たり前の事である





ライアーが次に意識を戻したときライアーの近くにいたのは父と母だった

「あなた。この子の名前はどうします?」

「そうだな…ライアーってのはどうだ。ライトールのライとミリアのアを足してライアー。この子はライアー・クラウンだ」

「ライアー…この子の名前はライアー…良い名前ね」

ふふふと母ミリアは笑った
父ライトールもそんなミリアを見て満足そうに頷いた

(僕の父はライトール。A級冒険者で暴雷のライトール。母もA級冒険者で翡翠の魔女ミリア。この村の名前はウーラン村。ウーラン村は魔の森に近く、ミリアとライトールによって護られているっと。成る程ね。この村の情報はこれくらいか)

ライアーは情報を得て満足したらしい

満足したらお腹がすいたライアーは空腹を訴えるために泣き出した