白い空間に人影が2つ

1人はのんびりと紅茶を飲み、もう1人はソファで寝ている
どちらもとても美しい青年だ

紅茶を飲んでいる人は金の長いサラサラの髪をクルクルと触って遊んでいる
もう1人は艶のある黒髪だ


金髪の青年はいつまで経っても起きないすやすやと眠る黒髪の青年を起こすようにソファーを蹴った

「っった…」

黒髪の青年は見事にソファーからずり落ち、頭を床に打ちつけた

「おはよう。よく寝ていたね」

ニコニコと笑いながら黒髪の青年を見つめる金髪の青年

黒髪の青年は金髪の青年を見つめて呟いた

「ここ、どこだ…」

金髪の青年はニッコリと笑って答える

「ここは天界。死んだ人がやってくる場所さ。ちなみに君たちの住んでいた場所は下界だよ」

「…御説明どうも」

黒髪の青年は警戒しながら金髪の青年にお礼を言った


「そんなに警戒しないで。君を襲ったりしないから。というか死んでるし。あぁそういえば自己紹介がまだだったね

私は君たち人間の言うところによると神様というやつだよ。第43世界を作った創造神さ」

「43世界?」

「君たちが住んでいたのは第1世界。全知全能の神ゼウスが1番初めに作った世界のことさ。第43世界は私が第43番目に作ったから第43世界と呼ばれていて、君たちの住んでいる世界とは別の世界」

「………」

「剣と魔法があって、戦いが日常的で魔物がいる世界。いわゆる異世界さ。君は知ってるかい?」

「知ってる。で、僕に何の用」

黒髪の青年は不機嫌そうに顔を歪ませた。
神がなかなか本題に入ろうとしなかったからだ。
神はその顔をみて苦笑しながら本題に入った。

「おっと。そんなに怒らないで。血圧があがるよ?一応確認しておくよ。するまでもないとは思うけどね。君は死んでしまった。これはOK?」

コクリと頷く黒髪の青年

「それでなんだけど。君が死んだのは実は手違いだったんだ…ごめんね……そのお詫びとして君は私の世界へと転生する権利を得たよ。いわゆるテンプレというやつだね」

黒髪の青年は続きを無言で促す

「それで転生するかしないかなんだけど、最初から決まってて君は転生するという選択肢しか選べないんだ。悪いね。赤ん坊からの転生になるよ。色々と羞恥心はあると思うけど我慢してね。」

「あと転生に関してなんだけど、君は殺し屋という職業で人を沢山殺してしまった。殺しすぎてしまったんだ。君のカルマが溜まり過ぎている。だからそれなりの罰が必要なんだけど…」

神が言葉に詰まった
黒髪の青年は首を傾げた

「君の転生後、左手首を貰う事になる。これが君の受ける罰、ペナルティーだよ。本来ならカルマの搭で罪を償い真っ白な状態で転生の輪に入る筈だったのに…」

黒髪の青年は首を横に振った
神は本当に申し訳無さそうに美しい顔を歪めた

「別に気にしてない」

「そういって貰えて嬉しいよ…だけどね、左手首が無くなるんだ。魔物の討伐など戦いの絶えない私の世界ではかなり重大な事。きっと君は出来損ない、欠陥と罵られるだろうね…申し訳無い。せめてもの償いだ」

そういいながら神は黒髪の青年の前に宝箱を10個出して見せた

「この中から好きな物を5つ選んで。ハズレは入ってないから。本当は3つしかあげちゃ駄目だしハズレも入ってるのだけど、今回は間違いなく私たち神が悪い。私が代表で責任をとらせて貰うよ」

黒髪の青年はそろそろと宝箱に近づくとささっと5つ選んだ。

「は、早いね…」

神は青年の決断の早さに苦笑した

「開けてみて」

黒髪の青年が宝箱を開けるとそこには紫色に輝く瞳と深紅に輝く瞳が入っていた

「それは魔眼だね。紫色の方が知の魔眼、深紅の方が偽の魔眼だよ。知の魔眼はアカシックレコードにアクセスして情報を得ることが出来るよ。偽の魔眼は色々なものを騙す事が出来るよ。まさしく君にピッタリだね」

コロコロと神は楽しそうに笑う

「へぇ…便利そう」

黒髪の青年は次の宝箱を開ける
黒いコートと黒いブーツが入っていた

「それは魔法のコートと魔法のブーツ。君の望む形に変形する事が出来るよ」

「ふーん」

「ちなみに汚れる事はないし、破れる事もないし、サイズ変更も出来るし、温度調節なんか出来るから結構レアだね」

「そーなんだ」

黒髪の青年はゆっくりと次の宝箱を開ける
ステータス画面とポイント1000、スマホみたいな機械が入っていた

「へぇ!それが当たったのかい。それはとってもレアなんだよ。自分でステータスを決めたり自分の容姿を作る事が出来るんだ!ゲームのアバター制作みたいなものだよ!」

「ふーん」

神のテンションとは反比例して黒髪の青年は興味なさげに頷いた
さっさと次の宝箱を開ける
大きな鎌とお金が入っていた

「これはマジックアイテムだね。望む形に変形してくれるよ。お金は言わなくても分かるよね。」

「へー」

だんだんと反応が面倒くさくなったのか青年はおざなりに頷いた
最後の宝箱を開ける

「契約紋だ…しかも使用回数∞…まさか、これが当たるなんて…君、とても運が良いね」

「どんな効果?」

「えーっと、簡単に言うと君の魔力を糧に使い魔を召喚して契約が出来る札だよ。使用回数∞なんて本当にレア中のレアさ」

「ふーん」

興味なさげに返事する青年を見て神は溜め息をついた

「これでも一応全部チートアイテムなんだけどねぇ?」

青年の無関心ぶりに苦笑する神は気持ちを切り替えるためにパンっと手を叩く

「よし、じゃあ早速転生の儀に移ろうかと思ったんだけどもその前に。ステータス画面、あれを弄らないといけないね…面倒くさいなぁ……ま、時間はたっぷりあるから大丈夫だけど。まずはスマホ、電源入れて」

神がポロッと本音を零す
黒髪の青年は神に言われた通りにスマホの電源を入れた

「スマホの画面でステータス欄とアバター編集ができるようになってるからそれを設定していくだけだよ。さっき出たポイントはスキル値を割り振る事が出来るよ」

神がそういうと青年はのんびりとステータスを弄り出した

「もうめんどくさいから聞きながらでいいよ。アバターの事なんだけど、魔眼は発動するときだけその色に光るからアバター編集の時瞳の色は好きなので大丈夫だよ」








「出来た」

「おお!出来たかい?なら少し見せて貰うとするよ」

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     残りポイント

      235
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  職業(ジョブ) 

   first 暗殺者(アサシン)
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技能(スキル)

     暗殺術 
     気配察知 
     気配遮断 
     魔力遮断 
     隠密 
     料理 
     魔力操作
     大鎌術
     投擲
     短剣術
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     魔法適性

  炎 氷 土 水 風 闇
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     特殊魔法

     想像魔法
     空間魔法
     治癒魔法
     影魔法
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     特殊技能(ユニークスキル)
     瞬間記憶
     生存本能
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     祝福(加護)



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元の青年の顔を欧米風にした顔を基準に、艶のある漆黒の髪と紫の瞳
左目に偽の魔眼、右目に知の魔眼を配置した
大きな目だが可愛らしいというよりは綺麗な顔立ちをしている

「これでは知の魔眼は常時発動してしまうのだけど…いいのかい?」

「そうなんだ…まぁ別にいい。知の魔眼は何かと使い勝手が良さそう」

「そう…ならいいけど…」

何かを言いたげな顔でそう呟いた神はすぐに顔を戻して質問する

「ポイントは残しておくの?」

コクリと頷く黒髪の青年

「ならこれでいいよ。あとは名前だけど何か希望、ある?」

黒髪の青年は少し考えたあと

「ライアー・クラウン」

と答えた

「…………嘘つき道化師ね…………………悪趣味な名前」

神がそう言うと黒髪の青年、ライアーは口元を歪めて笑った



「さて準備は整ったし、転生の儀を始めよう」

そう言って神は何もない空間から一冊の本を取り出して見せた
パラリと本を開く

「ライアー・クラウン」

「転生後の人生に私は関わらない事を誓う。あなたが英雄になろうが大罪人になろうが構わない。第43世界創造神ソフィルから今世のあなたに祝福を」

神、ソフィルが祝福を唱えるとライアーの体がたちまち美しい光で包まれる

パタンとソフィルが本を閉じるとライアーの体を包み込んでいた美しい光は消えていった

「じゃあ最終確認ね。ステータスは本当にそれでいいかな?」

コクリと頷くライアー
するとまたソフィルは本をパラリと開いた

「では異世界人の転生なので全言語理解とアイテムボックスを。アイテムボックスの中に宝箱の中の物が入っています。

カルマを浄化した清き魂よ。今こそ転生の時。あなたの人生が良い物となるよう祈ります」


そうソフィルが言い終わったと同時にライアーの意識はゆっくりと遠のいていった



「いってらっしゃい。良い旅を」