私は座りっぱなしで痛くなった臀部をゆっくりと持ち上げ立ち上がった。目の前の麻弥もつられて立ち上がる。

ここにいる全員と目があった。その目たちがこちらに向けられた理由は私には分からない。でも、きっとここにいる全員が考えていることは一緒だったに違いない。

「もう、行っちゃうの?」
麻弥が私に尋ねた。私はその麻弥の顔を見ることは出来なかった。他のみんなの顔にも笑顔はなかった。ううん、血が通ってないようなそんな顔だった。

でも、もう逃げないって誓ったんだ。すずねちゃんのためにも、みんなのためにも、そして自分のためにも。

「みんな、行こう」
みんなの顔を、一人一人の顔を見つめながら、私は決意を言葉を放った。




もう、後戻りなどする気はなかった。







殺された粉雪さんのためにも、化け物に利用され死んでいったないとくんのためにも、自らを犠牲して、化け物を封印したすずねちゃんのためにも。

桜並木が風に揺られて花びらを飛ばす。
まるで私たちを見送ってくれているようだった。