家に着いたら急いで自分の部屋に飛び込む。
母は私に学校はどうだったかなどを聞いてきたが、私は答えなかった。

「う…うう」人前では必死に堪えていた涙が一人になったとたん溢れてくる。
母が手を洗え、うがいをしろとしつこく言ってくるのが、今はひどく腹立たしかった。

勉強机の引き出しを開け、手紙を取り出す。
小学校の卒業式の日にこまりがくれた、ピンクの桜の柄の封筒。
その中には封筒と同じ柄の便箋が入っている。
便箋にはこまりのかわいい字で『あの約束』が書かれていた。

『中学生になってもずっと友達でいる』


私は手紙を片付けた。
この手紙を読んでも不安は大きくなるだけだった。
その日の夜は寝付けなかった。