その日の放課後は、神通家で昨日の報告会をした。

こまりは迷っていること。
美しさを手に入れたいが、人を殺したくないこと。
ないとと死ねる方法を一緒に探す約束をしたこと。
そして、こまりが残した、『美しくないと誰も私を必要としてくれない』という意味深な言葉を。
その日は、神通家での話は早めに切り上げて、6時には帰宅した。





夜の10時頃、自宅の電話がなった。
番号を見ると、ももかちゃんの家電からだった。
私は嫌な予感がして、受話器を急いで取った。



「もしもし?」
「もしもし?ねえ、すずねちゃん!どうしよう!」
電話越しのももかちゃんは、かなり困惑していた。
嫌な予感が膨らんでいく。

「何かあったの?」
「違うの!すずねちゃんに借りたゲーム、学校に忘れて来ちゃった!」
「えぇ!?」
思わず大声を出してしまい、口をふさぐ。
リビングから両親の睨むような視線を感じる。


「でも、ロッカーの奥に入れたから、大丈夫でしょ?」
「ううん、もって帰ろうと思って机に置いてそのまま…」
「えぇ、どうすんの?それ」
「…取りに行くよぉ」
ももかちゃんの渋るような声が聞こえる。

「行ってらっしゃい」
「えぇ、やだよ!すずねちゃんも一緒に着いてきてよ!」
「しょうがないなー」
私は渋々ながら承諾する。
そして、親にばれないようにそっと家を抜け出した。