意味もなくベッドに横になっていると、一階から私を呼ぶ声が聞こえた。
母の声だ。

時間は五時だったため、ご飯の手伝いかと思い嫌々ながらも一階に行く。

母は階段の下で待ち伏せしていた。

母が待ち伏せしているときは大体急ぎの用事の時だ。

あんなことがあった後だから、妙に胸騒ぎがする。

「あんたに電話がかかってきてる。神通って人らしいけど、あんた知り合い?」

母は私の顔を見つめ、首を傾げる。
知らない人から電話がかかってきたときの反応だ。
不審な人物からの電話だと疑っているのだろう。

「お母さん、大丈夫。知り合いだから」

私がそう言うと母は安心したような顔をして、キッチンへ入っていった。