学校着いた私達を待っていたのは『開いた口が塞がらない』という言葉が相応しい光景だった。

ないとの机に置いてあるたくさんのチョコレート。
机に乗せきれず、椅子の上やロッカーにまで無理矢理押し込まれていた。

パッと見ただけで分かる、この数はこの学年だけじゃない。
きっと二年生や三年生まで持ってきている。

チョコレートの数を正確に数えようかと思ったが、多すぎたため断念。


「すずねちゃんどうしよう、どこに置こう?」
ももかが非常に困惑した様子で私に問いかける。

どうしようと言われても気が利いたアドバイスなんて出来やしない。


結局何も出来ないままなのに、ないとが登校してきてしまった。

「キャー!ないとくーん!!!」
教室で待ち伏せしていた女子達が一気にないとに駆け寄った。
ないとはきっと迷惑そうな顔をしているのだろうけどここからでは確認出来ないため想像の範囲で理解する。

ももかは遂に勇気を振り絞りチョコレートを机の上に置いた。

不安定な山の上でチョコレートは今にも落ちそうだ。


ないとが女子達を掻き分けて机に近づく。
女子達もついてきて、、あっという間に机の笑周りに人だかりが出来た。

ガラガラと何かが落ちる音がする。
音の聞こえた方を見ると、机の上にあったチョコレートの山が崩れていた。

女子達は、自分のチョコレートだけ拾い、誰が一番最初にチョコレートを机の上に戻すかで競争を始めた。
ももかもチョコレートを拾い机の上に置こうとするが、他の女子に阻止されてしまった。

泣きながら私の元に走って来るももかのチョコレートはハートが真ん中でくっきり割れていた。