頭がクラクラした。おまけに痛い。
一睡も出来ず徹夜したのがさすがにダメだったらしい。
一階に降りるといつもあるはずの朝ごはんがなかった。
代わりに、コンビニで買ってとの置き手紙とお金がおいてあった。
コンビニで適当にパンを買い、同じ学校の生徒に見つからないよう隠れてたべる。制服を着ているからバレたら終わりだ。寄り道は禁止されている。
教室に行く足が重い。
訳の分からない緊張が私を襲う。
心臓が悲鳴あげすぎて壊れそうだ。
抵抗する足を無理やり歩かせながら教室を目指す。
頭が更に痛くなった気がした。
教室のドアもきっと重い。
教室に入ったらすぐに大川ないとと目があった。
あまりの緊張と気まずさに慌てて目を反らす。
急いで自分の席に着き、呼吸と気持ちを整える。
自分の心に「大丈夫」と、何度も言い聞かせた。
しばらくして先生がやって来て、連絡事項を話す。
その時間が終わったら一時間目が始まる。
そんないつもの日常がとてつもなく長く感じた。
担任に帰りの挨拶を終え、大川ないとを探す。
彼は席で帰りの準備をしていた。
話しかけるなら今だ。
体が震える。
心臓が今朝にましてうるさい。悲鳴をあげている。
それでも力を振り絞る。
「あの」と声が出た時はもう何も考えていなかった。
ただ彼から真実を聞き出すことしか頭になかった。
躊躇っていたのがバカみたいになるくらい、会話がスムーズに進んだ。
「教えてほしいんだ。私達のこと。あなたが何者なのかも。」
私はやはり彼の目を見つめ、決して反らさなかった。
反らしたら負け、そんな気がした。
彼はやがて納得したように目をゆっくり閉じた。
「いいだろう。だか教室じゃまずい。付いてこい。」
相変わらずの無愛想さだった。
でもそんなことはもう気にならなかった。
そのくらい緊張しているのだろう。
学校から出て数分北に行ったところにある、人気のない寂れた公園に私は案内された。
彼は入り口から一番遠いベンチに腰をかけた。
私も座ろうと思ったが近くにベンチは一つしかなく、その一つには彼がいたから断念した。
私は彼のベンチから少し離れたところに立つ。
体の向きは彼に向き合うようにした。
本当は母の口から聞きたかったが「私の口からは言いたくない」と言われたから仕方がない。
「ほんとにいいんだな?」
彼はいつもより真剣な顔で私を見る。
「うん、教えて。」
覚悟の割には小さく情けない声が出た。
でも彼は気にしていないようだった。
その熱くない態度が今はありがたい。
彼は長くなるぞと警告し語り始めた。
「あるところに化け物の夫婦がいた。そしてその間に一人の男が生まれた。しかし、その化け物の夫婦は離婚してしまう。息子を父親に任せて、母親は去っていった。しかしその後母親は人間の男と再婚する。そして一人の女を生んだ。そして化け物夫婦の間に生まれた化け物の男はやがて人間の女と結婚し、化け物の母と人間の間に生まれた女は人間の男と結婚した。そして化け物の男側には男が、半分ずつの女側には女が生まれた。そして化け物の男の方に生まれた男は俺、そして半分の女側に生まれた女…それは青木すずね、お前だよ。」
一睡も出来ず徹夜したのがさすがにダメだったらしい。
一階に降りるといつもあるはずの朝ごはんがなかった。
代わりに、コンビニで買ってとの置き手紙とお金がおいてあった。
コンビニで適当にパンを買い、同じ学校の生徒に見つからないよう隠れてたべる。制服を着ているからバレたら終わりだ。寄り道は禁止されている。
教室に行く足が重い。
訳の分からない緊張が私を襲う。
心臓が悲鳴あげすぎて壊れそうだ。
抵抗する足を無理やり歩かせながら教室を目指す。
頭が更に痛くなった気がした。
教室のドアもきっと重い。
教室に入ったらすぐに大川ないとと目があった。
あまりの緊張と気まずさに慌てて目を反らす。
急いで自分の席に着き、呼吸と気持ちを整える。
自分の心に「大丈夫」と、何度も言い聞かせた。
しばらくして先生がやって来て、連絡事項を話す。
その時間が終わったら一時間目が始まる。
そんないつもの日常がとてつもなく長く感じた。
担任に帰りの挨拶を終え、大川ないとを探す。
彼は席で帰りの準備をしていた。
話しかけるなら今だ。
体が震える。
心臓が今朝にましてうるさい。悲鳴をあげている。
それでも力を振り絞る。
「あの」と声が出た時はもう何も考えていなかった。
ただ彼から真実を聞き出すことしか頭になかった。
躊躇っていたのがバカみたいになるくらい、会話がスムーズに進んだ。
「教えてほしいんだ。私達のこと。あなたが何者なのかも。」
私はやはり彼の目を見つめ、決して反らさなかった。
反らしたら負け、そんな気がした。
彼はやがて納得したように目をゆっくり閉じた。
「いいだろう。だか教室じゃまずい。付いてこい。」
相変わらずの無愛想さだった。
でもそんなことはもう気にならなかった。
そのくらい緊張しているのだろう。
学校から出て数分北に行ったところにある、人気のない寂れた公園に私は案内された。
彼は入り口から一番遠いベンチに腰をかけた。
私も座ろうと思ったが近くにベンチは一つしかなく、その一つには彼がいたから断念した。
私は彼のベンチから少し離れたところに立つ。
体の向きは彼に向き合うようにした。
本当は母の口から聞きたかったが「私の口からは言いたくない」と言われたから仕方がない。
「ほんとにいいんだな?」
彼はいつもより真剣な顔で私を見る。
「うん、教えて。」
覚悟の割には小さく情けない声が出た。
でも彼は気にしていないようだった。
その熱くない態度が今はありがたい。
彼は長くなるぞと警告し語り始めた。
「あるところに化け物の夫婦がいた。そしてその間に一人の男が生まれた。しかし、その化け物の夫婦は離婚してしまう。息子を父親に任せて、母親は去っていった。しかしその後母親は人間の男と再婚する。そして一人の女を生んだ。そして化け物夫婦の間に生まれた化け物の男はやがて人間の女と結婚し、化け物の母と人間の間に生まれた女は人間の男と結婚した。そして化け物の男側には男が、半分ずつの女側には女が生まれた。そして化け物の男の方に生まれた男は俺、そして半分の女側に生まれた女…それは青木すずね、お前だよ。」



