万年筆。
それは私にとって大切なものだ。
いや、すべての万年筆が大切なのではない。
彼がくれた、たった一本の万年筆。
貰ったときからずっと大切にしているのだか、くれた彼の名前も、今何処で何をしているのかすら知らない。
生きているのかさえも─。
それもそのはず。
何故なら彼と私を繋ぐものはこの万年筆だけなのだから─。