私は今、街中を走り回っている。
さかのぼること3時間前~
「お父様?お呼びでしょうか?」
「香織~やっぱり僕は嫌だよ~!」
私、本宮香織は父である本宮コーポレーションの社長に呼ばれていた。
本宮コーポレーションは日本が誇るトップ企業で人脈も幅広い。
だがこの会社には問題がある。社長が娘を溺愛しすぎていること。
私の幼いころに母が病死し父ひとりで育ててくれた。
あ、訂正。一人じゃなかった。沢山の使用人がいた。特に鏑木には感謝している。
そんなある日、お父様から呼ばれた。すると泣いていた。今回は何事かわからない。
「お、お父様、どうされましたか?」
「か、香織~~すまない。こんな父親でごめんな~~」
もうそれ聞き飽きた…
「お父様は私の自慢です!で、今日はどうしたのですか?」
「き、今日から香織は婚約者と同居してもらうことになった。」
「ふぇっ?」
あ、いけない。間抜けな声を出してしまった。後ろにいる鏑木ににらまれた。
「え、あのお父様?婚約者…?私聞いたことがないんですけど。」
「お前を嫁に出すのが嫌でなかなか言い出せずに直前になってしまった。すまない~~」
え、いやすまないじゃないでしょ…私には妄想という名の憧れの恋があるのに~~
え?それは?そんなこと、のちのち教えてあげるからさ~でもある妄想ではこういう話もあるんだよね。
案外いいかもしれない。
「で、お父様。お相手はどなたですか?今まで会った方でしょう?」
「実は小さいころに一回会っただけなんだ。覚えていないだろう。
立花グループの息子さんだ。時期本宮コーポレーションと立花グループは合併する。
その証として結婚してもらいたいんだ。」
うわー!まさしく妄想の世界!!ほんとにこんなことが起きるんだ…
「あ、そうそう。今隣の部屋にちょうどいるぞ。名前は綾斗君だ。頼む。香織!!」
「もう、仕方がないですね。行きますよ。」
隣の部屋に移動する。鏑木には二人で話すと伝え、誰にもいれないようにし、ご対面。
「失礼します。本宮香織でございます。」
入ってみると妄想にでてきた彼がいた。私、もしかして妄想じゃなくて正夢見てた!?
「あ、香織ちゃん。あ、ごめんね。いきなりなれなれしく呼んじゃて。
僕は立花綾斗。よろしく。っていってもいきなりだから困るよね。
これから二人で仲良くやっていこう。」
なんて笑顔でいわれたらときめくどころか鳥肌が立っちゃった…そして何気に私の手を握ってる。
そして大声で~
「ギャー!!」
私は部屋を飛び出した。私は父と使用人以外の男性がまわりにいないため、あーいったことは慣れてない
あ、私今大学4年生で今まですべて女子校育ちの温室育ち。そこで家を飛び出し現在に至る。
なんか途中抜けてる気がするけどまあいっか。
「おいおいねーちゃん。今から良いところ遊びに行こうぜ~」
ねーちゃんって誰の事だろ。なんて考えてたら手を引っ張られた。
「無視すんじゃねーよ!おら!行くぞ!」
「キャ!嫌!離して!」
なんて嫌がってたら聞き覚えがある声が。
「てめーら、さっさとその汚い手を放しやがれ。」
うん。聞き覚えのある声じゃなくてさっき聞いた声だ。
「なあ、聞こえなかったのか?なら手がでても仕方がないよな?」
はい、綾斗さん決定~!しかもかなりご立腹…