「ご、ごめんね。あの、わざとじゃなかったの。ただ、なんて言うか……疲れてたの、かな。全然気付いてなくて」

あたふたと言いわけしながら画面をスクロールすると、沢山の着信とメール。そのほとんどが岡澤からだ。

「そっか。無視されてるんじゃないかって焦ったよ。焦り過ぎて不安で、合鍵で勝手に部屋に入ってごめん」

「あ、うん。大丈夫」

疲れた顔に口角を上げ、形ばかりの笑顔を作った岡澤に、光希もそれ以上何も言えない。

「あの……。あ、コーヒー!コーヒー入れよっか」

しばらく思い沈黙が続き、耐えられなくなった光希が場違いなくらい明るい声を出したけれど、返事は意外なものだった。

「ーーー光希、やっぱり知ってる?」