そのまま実家に行って、甘えるように日曜日の夕方までを過ごしたのに、でも気持ちは晴れなくて。駅から部屋までの歩みもとぼとぼと情けないものになる。

「え……あれ?」

部屋の前に着いた時、光希はやっと違和感を感じる。部屋の電気がついているのだ。

出かける時に消し忘れたはずはない。それなら……。

ゆっくりとドアを開けた光希の目の前に現れたのは岡澤だった。

「おかえり。連絡しても全然繋がらないから、合鍵使って待ってた」

「あ……」

そういえば、実家にいる間ちっともスマホを触らなかった。誰かから何かを聞いてしまったらただでさえ疲れた心が更に疲弊してしまいそうで、無意識に外界との関わりを絶っていたのだろう。
無意識過ぎて、そんな事実さえ、今、初めて気が付いた。