「失礼ですが、これをお探しですか?」

遠慮がちに声をかけた光希を見た彼女は、大きく目を見開いた後、ピアスを乗せた光希の掌を包み込んだ。

「そうっ、そうです!大切な物なのに失くしてしまって……ありがとうございます!!」

まんまるの瞳からは涙まで溢れ落ちそうだ。

「良かったです。では……」

「待ってください!是非、お礼をさせていただけませんか」

良い事をしたと幸せな気持ちで立ち去ろうとした光希を女性は強引に止める。

「お礼なんて。偶然見つけただけですから」

「そんな事言わないで下さい。このピアスは私にとってとても大切な物で、失くすわけにはいかなかったんです。見つけてくださった方は命の恩人と同じです」