清花は微笑んだままの顔だが、そこに浮かぶ寂しさが少しずつ濃くなる。それが皮肉にも清花の可憐さを引き立てていて、見ているこちらが切なくなった。

「ーーー無理にお祝いして欲しい、とは思わないよ。私達のせいで清花ちゃんに迷惑かけちゃったんだし」

清花の失恋を確認してしまうようで「傷つけた」とは言えなかった。でも、そんな光希の心遣いを清花は分かっているのだろう。困ったように眉を下げた。

「自分でも損だなって思うんですけど、私、誰かの前で泣けないんです。きっとあまり感情を露わにするなって育てられたせいなんですけど。侑斗さんは以前、感情を見せられる方が嬉しいって仰ってたのに」

きっとそれは、以前に光希が言ったことに対する返答でもあるのだろう。お嬢様で沢山の習い事をして出来る事が多くても、岡澤には響かない。光希だからこそ、なのだと。