納得出来ないと噛みつく光希に、岡澤が納得したと表情を緩めた。

「ああ、そうだった。まずその誤解から解かないとだ」

「誤解？」

「うん、誤解。俺はね、お見合いした意識はなかったんだよ。家族との食事会に行ったら懐かしい人達に会ったってだけで」

「で、でも！清花ちゃんはお見合いするって前から言ってて」

「俺には事前の説明は何もなかったんだ。何か妙だなって思ったけど、それでも全然気が付かなくて。清花さんに『結婚式に理想はあるか』って聞かれた時も光希にどんなドレス着せようか妄想したくらいだしね」

「妄想って……」

「社会人になってから五年近く待ってるからね。妄想も膨らみまくってるんだよ」

クスクスと笑いながら話す岡澤が、不意に表情に影を落とした。

「でも会話してるうちにおかしいって気付いて……。後で親に確認したら勝手に縁談進めてるっていうだろ。驚いたよ」