「「「えっ!?」」」

光希が上げた驚きの声はいくつもの声とハモった。

「なんで!?岡澤主任、美人の婚約者いるのに!」

「やっぱり愛を選んだのよ!主任、素敵ー。」

「え、じゃあ将来の社長を棒に振るって事?出世諦める程って、冴島さん、そんないい女なのか?」

突然のプロポーズに驚きで呆然としたまま岡澤を見つめる光希とは対照的に、周囲は口々に勝手な感想を述べて騒ぎ出す。

それをチラリと見やった岡澤が大きなため息を吐いた。

「あのさ。邪魔だから、感想はどっか別の所に行ってから言ってくれるかな。さっきから俺の人生、面白い可笑しく語ってくれてるけど、大きなお世話だから」

岡澤は普段の人当たりの良さからは考えられない不機嫌で言い放つと、光希の手を掴んでさっさと歩き出した。