光希にとっては決死の宣言。だけれどそれは、一瞬の沈黙の後の爆笑で返された。

「ちょっと、何言ってるの!?岡澤主任、婚約者がいるのよ?」

「冴島さん、どうしたのよー。岡澤主任の婚約がショックで壊れちゃった!?」

「このタイミングでそれって、自分が遊ばれて捨てられたって言ってるのと同じだよ」

「分かった!冴島さん、庇うふりして岡澤主任を断罪したいんでしょ」

言葉は違っても、そのどれもが状況を面白がっているのは同じだ。ニヤニヤとした笑いと一緒に吐き出される言葉達に、光希の気持ちも挫けていく。

「そうじゃない。そうじゃなくて、私は……先輩は……」

必死に探すのに望む言葉はちっとも出てこなくて、泣きたくなる。