何の罪悪感もなしに目の前で続く会話が、ぼんやりとしていたはずの光希の頭を急速に覚醒させていく。
それと同時に、こんな無責任に噂話をする人達からの評価を気にしていた自分自身への怒りが込み上げてきた。

「ーーー勝手な事言わないで」

身体の奥からふつふつと湧き上がる感情に、意識するより前に言葉が出ていた。

「先輩がどれだけ頑張って仕事してたか知らないくせに、勝手な事言わないで!休みの日だって調べ物したり出勤してたり、仕事が上手くいくようにって。もうちょっと手を抜いたらって言いたくなるくらい頑張ってるんだから。それが評価されて主任になったのに、コネとか忖度とか……」

単純に悔しかったのだ。これまでの岡澤の頑張りを見てきた光希には悔しくて、許せなかった。