寝落ちした光希をベッドに寝かせ、泣き過ぎた瞼が腫れないように保冷剤を乗せ、置き手紙を残す。このぶんならきっと、キッチンか冷蔵庫にも何か用意があるだろう。
頭痛さえ遠くに感じる程ぼんやりした頭を軽く振りながら立ち上がった。

案の定、冷蔵庫にはイオン飲料とゼリー。こんな時まで岡澤は完璧で、光希はなんだか笑ってしまった。

「私の事もよく分かってるし、ね」

光希は自分のプライベート、しかも恋愛事情を理由に会社を休むつもりはない。実際、少し頭がぼんやりする程度で体調が悪いわけでもない。

やっぱり仕事に行くと伝えたら、岡澤はどんな顔をするだろうかと想像する。「やっぱりね」と笑うだろうか。

心配させているのは間違いないので、とりあえず「おはよう」の挨拶と「元気だから仕事に行く」事を短いメッセージにして送る。