「鈴蘭ちゃんこそ、生きてたんだ」


「はい。ラッキーですよね」



そうかな? あっさり死んじゃった煥のほうがラッキーだったかもしれないよ。



「おれさ、さよ子ちゃんを探せっていうクエストの最中なんだけど、鈴蘭ちゃん、ヒント持ってないよね?」


「クエスト? さよ子、このあたりにいるんですか?」


「わかんない。でも、探して連れてかないと、ジ・エンドなんだって」


「何が終わるんですか?」


「世界」


「え?」



血の匂いがした。腐臭はまだしない。


煥《あきら》の生首はひどくキレイで、つい目を惹き付けられる。



「鈴蘭ちゃん、傷を治すチカラがあるよね? その首、つなげてやれないの?」


「生き返らせるのは無理ですよ。そんなことできる人がいたら、神さまです」


「好きな人が死んじゃって、悲しくないの?」


「悲しいですよ。煥先輩の歌をもう聴けないなんて。でもね、これはこれでいいかもって思うんです」


「いいって、何が?」