【大仰なことを頼みたいわけではない。さよ子だ】


「はい? あのお目々キラキラの美少女が何なの?」


【ここへ連れてきてほしい。あの子が生きている可能性だけを希望に、その一縷《いちる》の光にすがって、私は自我を保ち、破砕を食い止めている。

さよ子さえ確保できれば、さよ子が生きている限り、私は世界を崩壊させずに済むだろう】



胃の底がまたザワザワして、きつく痛んだ。


冷たい手で胃をつかまれて搾り上げられるように感じた。



不吉の予感。強烈な確信を伴う、最悪の可能性。


カウントダウンが聞こえ始めた。そう感じた。



「はいはいはい、さよ子姫をお連れすればいいわけね~。割に合わないお仕事な気もするけど、まー、巡り合わせってやつかな。しゃーないね。行ってきますゎ」