痛い痛い痛い。
額が裂けて中身が飛び出しそうに痛い。
痛すぎて笑えるくらい痛い。
その瞬間、悪寒がした。
とんでもないモノと共鳴したのを感じた。
呑み込まれるんじゃないかって恐怖が、おれの喉をつかんで押さえた。
声が出なくなった。
黒塗りの上等なワゴン車が内側から弾け飛んだ。
鉄片とか油とか機械のかけらとか、中に乗ってた誰かのバラバラ死体とか、いろんなものがまき散らされた。
小さな爆発が起こった。
絶望的な思念の絶叫が聞こえたから、たぶん胞珠の破砕だった。
車ごと数人を吹っ飛ばした衝撃波のど真ん中に、人の形をしたモノが存在していた。
ほとんど全身が輝いている。
服を着ていても、それが意味をなさないくらいにまばゆい。
いや、太陽みたいなまぶしさってわけじゃなくて、そう感じられるだけ。
チカラの圧が強すぎて、まぶしい光や猛烈な風に似たものを感じてしまう。
体じゅうが胞珠だ。
「化け物」
思わず、おれはつぶやいた。



