「さよ子ちゃん」


「何ですか?」


「あーんってするから食べさせて」


「顔にパイ叩き付けるやつ、やってみたいんですけど、ダメですか?」


「ダメ」


「ちぇっ。つまんなーい」



そう言いながらも、さよ子が笑って差し出してくれたレモンパイは、甘酸っぱくて爽やかだった。


ふわふわのメレンゲが、おれの口の中で、しゅわっと溶けた。



それは何だかとてもくすぐったい味で、おれは思わず笑ってしまった。



BGM:BUMP OF CHICKEN「プレゼント」


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DISTOPIA EMPEROR
―絶対王者は破滅を命ず―

おしまい