DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―



テメー死ねよって、血のつながった実の父親に対して、おれ、今、本気で思っててさ。


憎しみと殺意とチカラがあふれて止まんないんだよ。



【そのナイフ、拾え】



さっきデカい図体の男たちがカーペットに投げ出した、ゴツい刃渡りのナイフ。


おれはそいつを指差して、ありったけのチカラを込めて、親父に命じる。



【できんだろ? 拾えよ。さあ!】



部屋じゅうがビリビリ震えるくらいの大音声。


人間が処理できるギリギリの重さを持つ言葉。


そんなモンを放つおれ自身、脳ミソが絞られるみたいに痛い。吐き気がする。



親父はわなわなと体を揺らしながら、かぶりを振る。


続かない呼吸の合間に、やめろ、と口が動く。


おれのチカラに必死で抵抗している。