聞きたくない言葉のオンパレードだ。
帰るとか、家族とか、やり直すとか。
テメー、どのツラ下げて、そんなくだらねぇこと言ってやがんだ?
怒号がおれの全身から衝撃波になって噴き出す。
【黙れっつってんだよ!】
パシン、と、ぶん殴ったような音があちこちから聞こえた。
親父がのけぞる。ほかのみんなも、耳や頭を押さえてうずくまる。
体じゅうの血が沸騰してるみたいだ。
怒りと憎しみで熱せられたチカラが、血管の中を隅々まで巡りながら暴れている。
親父がなおも、おれにすがろうとしてくる。
「理仁、おまえが必要なんだ。私がより大きな資産を求めるのは、すべて、愛する家族のため……」
聞きたくない。
愛なんて言葉、親父の口から聞きたくない。



