DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―



「なぜそんなことを言い切る?」


「昔からずっとそうだったと、母や祖母から聞いています。

科学が未発達だった時代には、生贄《いけにえ》を捧げて雨乞いをすることが何十年かに一度あって、それが宝珠のいちばん多い使用例だったそうですけど、今は違います。

科学が奇跡に追い付きつつありますよね」


「きみは間違っている。きみの言葉は、きれいごとにもなり切れない戯言《たわごと》に過ぎない」



親父は体ごと鈴蘭に向き直った。



その途端、ヒュッと音がして、小さなものが親父の頬をかすめて飛んだ。


壁に当たって落ちたそれは、さよ子の両腕を戒めていた手錠の残骸だ。



海牙が、ばらした鎖を投げて親父を牽制した。


手元にはまた別の弾もある。