親父が、つと、おれから目をそらした。
視線の先にいるのは、海牙と鈴蘭。
「理仁が協力してくれないのなら、きみたちでもいい。私に力を貸してほしい。今、私にはどうしても叶えなければならない願いがある」
鈴蘭が、さよ子をかばうように立った。
「それは宝珠を必要とする願いなんですか? 誰にだって、叶えたい願いはあるものです。
でも、あなたのように奇跡のチカラにすがってしまうのは、正しいことだとは思えません」
「だが、宝珠はこの世に存在する。それは何のためだろうか? 人の願いを叶えるためにほかならないだろう?
きみは青獣珠を預かっている。いつでも奇跡を起こすことができるのに、宝の持ち腐れにするつもりか?」
「はい、宝の持ち腐れにするつもりです」



