「高校で悪い友達と出会ってしまったのも問題だったかな。理仁が宝珠について知る必要はなかったというのに、白虎の血の者が身近に現れるとは」
「おれは文徳に出会えて感謝してるよ。文徳が知りたがってたから、おれはひいばあちゃんの遺品をキッチリ調べたんだし、
それ以前に、対等な友達になってくれたのは文徳が最初だったからさ。あんたが文徳のことを悪く言うなら、おれ、キレるよ」
おれは親父の目を見る。眉間に力を込めて、じっと。
何でだろう、昔から不思議なんだけど、親父の目を見ようとすると遠近感がおかしくなる。
焦点がうまく合わなくて、親父が近くにいるのか遠くにいるのか、平面なのか立体なのか、わからなくなってくる。
逃げたい。
まだそんなことを思ってしまう。
怖い。
これだけちゃんと断罪の言葉を吐いても、それでも、背筋が震えるあの感覚が消えない。



