DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―



自動ドアが開いてそこに現れた光景に、おれ以外の全員が驚きのリアクションをした。



シャンデリアを模した照明が白々として、薄暗い地下駐車場に慣れた目にはまぶしい。


真紅のカーペットが敷かれている。


白い壁には、金箔をまぶした彫刻がきらきらしい。



ブルジョワ志向の内装だ。


モデルにしたのはパリのオペラハウスでしょうか、みたいな。


でも、そういう方向性なら、もうちょい本格的に金かけてガチモンのアンティークをそろえろよな。



奥の壁にしつらえられた金ピカのドアはエレベータで、地上につながっている。


このレッドカーペットな成金趣味の部屋は、エレベータホールなんだ。


襄陽学園のVIP向けの部屋は軒並みこんな感じ。


母親が命懸けで守った我が家もね、似たような雰囲気で。



ダセーんだよ、こんな趣味。


虫唾《むしず》が走るってやつ。



おれは部屋に踏み込んだ。




【武器を捨てろ!】



チカラを込めて勢いよく怒鳴る。