煥は右腕を引いて身構えながら、勢いよく踏み込んだ。


右のこぶしを繰り出す。


渾身の正拳突きがチカラの光を引き連れて、へこんで歪んだシャッターにぶち込まれる。



致命的な音がした。シャッターに亀裂が入った。



「もう一発か」



障壁《ガード》とは名ばかりの破壊力を持つ光の正六角形が、シャッターを殴り付ける。


亀裂が広がる。



海牙がひらりと跳んだ。



「せいッ!」



狙いすました一点を蹴ったんだろう。踵《かかと》が亀裂をぶち抜いた。


シャッターが完全に割れて破れる。



煥が白い光をシャッターの亀裂に叩き付けて、穴を人が通れるサイズに広げた。


金属が熱せられたときの匂いが鼻を突く。