おれは、服の上から朱獣珠を握りしめた。
ぐるっと全員を見渡して、笑顔の仮面を装着。
これ以上ペース乱されてたまるかってんだ。
「情報があらかた出そろった感じがするしさ~、そろそろ行こっか。おれの勘が正しければ、ってか、九割九分の自信があるんだけど、あいつの居場所、わかるよ。
さよ子ちゃんさえ取り戻せたらいいんだし、勝算は十分でしょ。ガツンと攻め込んじゃわない?」
灼熱するように強く頭に立ち現れたヴィジョンがある。
夢で見た光景だ。
コンクリートの地下駐車場。誕生日のナンバープレート。
あの夢の中では、誰ひとり救うことができずに、おれは赤黒くひび割れた空の下で雨に打たれて、世界の破滅を願った。
今回は、終わらせない。
必ず、あの場所から、この先も続いていくストーリーをつかみ取ってみせる。