唐突に、おれは理解する。



「おっちゃんが預かってる宝珠って、地球そのもののことか」



総統は目を伏せた。



「正解だ、理仁くん」


「すっげー。信じらんねぇほどデカい宝珠だねー。だからこそ、全知全能のスーパーパワーが備わってるってわけ?

そんでもって、いつでも冷静にチカラを抑えてなけりゃいけないってのに、どっかのバカが娘を誘拐してくれたおかげで地球崩壊の危機だって?」


「私は弱い人間で、弱い父親だ。取り乱してしまった。娘が心配でたまらない。

だが、怒りや復讐心に駆られて私が動けば、娘ほどではないにせよ大切なこの世界が、この一枝が、崩壊してしまう。

私はそれを恐れて立ちすくむ、娘を助けに行けない、弱い父親だ」