さっき衝撃波に吹っ飛ばされて転がってってた天沢氏が戻ってきて、姉貴の手から総統のスマホを受け取った。
天沢氏はそれを総統に届けて、総統のかたわらに正座でひかえる。
総統はおれをまっすぐに見て、言った。
「理仁くんは、宝珠というもの自体が怖いか?」
おれには隠すつもりなんてない。
「怖いっすよ。朱獣珠だって、だんだん意思疎通できるようになってきたとはいえ、肌身離さず持ってなきゃいけないのが、今でも急に苦痛になったり怖くなったりする」
「そうか。ならば、今から恐ろしいものを見せてしまう」
総統は和服の袖を抜いて、上半身、肌脱ぎになった。
悲鳴を呑み込む気配が、おれだけじゃなくて、人数ぶん。



