姉貴が、歯型の付いた唇で、呪いの言葉を吐き出すみたいに言った。



「あいつは、朱獣珠を使えば使うほど狂っていった。あいつが勝手に破滅するだけなら、どうだっていいのよ。

わたしたちの人生まで乱されたくなかった。だから、理仁が四獣珠の事実を知ったとき、わたしはあいつから朱獣珠を盗み出した」



そう、おれひとりじゃ何もできなかった。


姉貴が引っ張ってくれて、ビビりながらも、どうにか動くことができた。



だけど、おれと姉貴のふたりでも、逃げるのが精いっぱいだった。


親父に反撃することも、その野心を砕くこともできなかった。



強くなりたい。


もうおびえたくないし、逃げたくもない。