凄まじいエネルギー量の思念が、おれをぶち抜いていく。


胸を引っ掻き回して、頭のド真ん中に刺さって、自意識とか思い出とか予知夢とか全部、鮮やかに照らし出そうとする。


ぐちゃぐちゃにこねくり回されて、おれは混乱する。



総統のチカラが暴れている。



波打つ地面に突き上げられて、畳が数枚、ボコボコと浮いた。天井が軋む。


海牙や天沢氏が、落ち着いてくださいと叫ぶ。



総統だって、我を忘れているわけじゃあない。


自分自身に暗示をかけようとする声が、大広間に轟く。



【鎮《しず》まれ、鎮まってくれ……宝珠よ、共鳴するな。逆だ。抑え込むのだ。封じてしまえ。押し殺して、制御して……ああ、混乱してはいけない】



必死の祈りみたいなそれは、絶対的な強制力を持つ命令でもあって。


おれは体が動かない。起き上がれない。呼吸が鈍くなっていく。


朱獣珠も、目に見えないチカラに戒《いまし》められて、鼓動さえ禁じられている。