海牙は、ストップ、と言うように手のひらを立ててみせた。
「あのメールの送り主が煥くんではないことは、ぼくたちも推測がついていました。煥くんに尋ねたのは、あくまで確認のためだけですから。それよりも、別の……」
言い差したところで言葉を切った海牙は、おれたちの背後へと視線を投げた。
視線につられて、おれは振り返る。
「おっ、鈴蘭ちゃん。おはよー」
小走りで近寄ってきた鈴蘭は、チラッとおれに視線を向けて「おはようございます」と早口で言うと、息を切らして海牙に詰め寄った。
「さよ子のご両親から今朝、うちに連絡がありました。さよ子がいなくなっちゃったって。
海牙さんが少し詳しく事情を知ってるから、合流して一緒にさよ子の家まで来てほしいって」
「ぼくも大して詳しく知りませんよ」



