「そのメール、煥の詞を真似て書かれたんじゃないかと思って。煥の詞は、使う単語や文体に癖があるだろ。

即時性を問われないメールの文面なら、真似ることは難しくない。さよ子さんはそれで、本当に煥からのデートの誘いだと信じてしまったんじゃないかな?」



煥は吐き捨てた。



「冗談じゃねえ。普段の連絡だったら、いちいち詞みたいな文章にするもんか」


「それは兄貴として、俺が保証する。煥のメッセージ、文章としてつながってるのがほとんどないもんな。

スタンプも絵文字も顔文字も使わないし、本当に最低限の単語だけ。おまえ、メールなんて機能は面倒くさすぎて、開いたこともないだろ?」


「開いたことくらいはある。SNSとかのアカウント登録のために、やっぱメールは必要だし。来てたメール、読んだこともある。

でも、メールを書いて送ったことはない。それが必要な相手、いねぇし」