エレベータのドアが開く。おれは箱に乗り込む。


ドアが閉まる。箱が静かに降下する。



「おれの中にも、あいつ由来の腐った血が流れてる」



その血を流し切ってやろうと、ナイフで自分の腕を刺してみたことくらい、笑えてくるほど何度もある。


結論としてはね、自分で自分を刺して死ねるほど、おれは度胸がよくないってこと。



塔を出て、ひとけのない廊下の角を一つ曲がると、途端にそこは学校になった。


ブレザーの制服。案外楽しそうな同世代の人たち。


ちょうど休み時間で、男子も女子もそれぞれにしゃべったり笑ったりしている。



何となく、気まぐれなことを思い付いた。


教室、行ってみよっかな。


友達って呼べるやつくらい、いるし。



歩き出して、すぐのことだ。


女の子がおれにぶつかった。


それがけっこうな勢いだったから、女の子はふらついた挙句に転んだ。