不意に、海牙がへたり込んだ。


うつむくと、ちょっと長めの髪で顔が隠れてしまう。



誰より素早く動いたのは姉貴だった。



「海牙くん、どうしたの? 大丈夫?」



姉貴は海牙のそばにかがんで、グレーの制服の肩に手を触れた。


海牙は顔を上げて苦笑いした。



「おなかがすきました。あの動き方をすると、ものすごく消費するんです」


「何だ、そういうこと。とりあえず、チョコレートあげる」


「いいんですか? ありがとうございます」


「どういたしまして。ケガはない?」


「問題ないですよ。いくつかアザはできたかもしれませんが、その程度です。顔は守りましたし」


「キレイな顔に傷が付かなくてよかったわ。ねえ、この後、一緒に食事に行ける? この間のお礼がしたいの」