海牙の足下で、覆面が呻いた。


海牙は迷いもなく覆面の股間を踏み付けた。


呻き声がパッタリと途絶える。



「うっわ、容赦ないね~」


「容赦する理由がありませんから。汚いものを踏んでしまって、気分悪いけどね」



おれは少し笑った。その拍子にふらつきそうになった。


膝に手を突いてこらえる。


文徳が肩を貸そうと申し出てくれたけど、サンキュって言って断った。



煥が険しい目をして、路地に転がる覆面のご一行を見やった。



「こいつら、何なんだ? 組織的だよな。裏に何がいるんだ?」



おれと姉貴の視線が絡んだ。


姉貴は、そっとかぶりを振った。


だよね。心当たりはありまくるけど、ハッキリ確認してないんだ。


まだ何も言えねーよな。



海牙が慎重な言葉を口にした。



「明日以降で、かまいませんか? 確証を得てからお話ししたい。ここにいるぼくたち全員の身の安全に関わることです」



四獣珠のチカラに由縁のあること、だろう。


おれや姉貴が経験と想像から推測している敵の姿を、海牙はきっと、もっと正確な情報によって知り得ている。