最後の一人を、煥の回し蹴りが昏倒させた。
踏み込もうと身構えていた海牙は、ふう、と息をついて肩をすくめた。
「倒した敵の数、今ので煥くんの勝ちですよ。残念」
「全部倒せりゃ何だっていいだろ」
「ぼくはちょっと気にしますけど。すごいものですね。チカラも使わず、純粋な身体能力だけで、その動きでしょう?」
「オレのチカラは光の障壁《ガード》だ。あんたは、その動きが能力なのか?」
海牙は、額にかかる黒髪を掻き上げた。
髪が濡れてるのがわかった。
短い間に、ものすごい量の汗をかいている。
「動き自体はトレーニングの成果です。ぼくのチカラは目ですよ。力学《フィジックス》と名付けたチカラで、
ザックリ言えば、ぼくの視界にはありとあらゆる数字が表示されるんです。だから、コンピュータで最適値を求めるように、ぼくは効率的な数字に従って動ける」



