煥が息を吸ってマイクに口を寄せた。
次の瞬間に紡ぎ出された声に、その声の溶け込むバンドサウンドに、心臓をつかまれた。脳ミソごと揺さぶられた。
これがなきゃ眠れないんだと
ポケットから取り出す鎮痛剤
ラムネみたいに噛み砕いてみせるアンタが嫌いだよ
まるで鏡の中の自分みたいで
ポケットに隠したジャックナイフを
アンタの前では見せびらかさない俺のちっぽけな見栄
眠れやしない夜更けに
街灯の下に集まる
蛾の群れよりも不自由な
翅《はね》すら持たない惨《みじ》めな生き物
いつか聴いた唄みたいに
バイク奪って走って
ガラス割って殴り合ったら
くたびれて眠ってしまえるかな



