エミリーはまだ寮に戻ってきてないのかな?


会ったのは一ヶ月ぐらいのはずなのに...


もう随分前のような気がする。


近くのベンチに座り込みながら、ボケッと物思いにふけていると。



カサカサッ―――!



音と共に茂みから現れたのは黒い猫だった。


あれ?...この猫ってエミリーが会いにきてるヤツだよな?


怯えさせないように、腰を屈めながらゆっくり猫へと近づいた。


そんな姿勢が伝わったからか、黒猫は逃げることなく真っ直ぐ俺を見ている。