「ぶっちゃけたこと言うけどさ、私別にコーヒーがインスタントでも、ちゃんと豆から挽いたのでもそんな気にしないんだよね」

「なに急に」

「いやこないだの男がコーヒーひとつにえらくうるさかったの」

「ああ、例の……例の……まあなんでもいいや」

「なんでもいいならわざわざ『例の』って前置詞つけないでよ」

そんな苦笑を交えながら起き上がり、彼を踏んづけた。

意外と引き締まった体を、彼はくねくね捻った。

「ぅぉうっ、ダメ、踏まないでお姉さまっ」

「キショイ」

「ぐああっ、だからってかかとで体重かけんなぁっ!!」

「だれかが変な声出すからでしょ」

「だれかってだれじゃ、とりゃっ」

「うわっ!?」

彼の反撃。引っ張られた足がぐらついて、私は倒れ込んだ。

シーツの津波と、スプリングの上下運動が数秒。

私は彼にホールドされている。