「これで少しは佐藤さんの気持ちスッキリできたらいいんだけど」


ヘヘッといたずらっぽく笑う彼。


……あ、私が声を出せないから?


だから今、すごく大きな声で叫んでくれたの?


「……ねぇ、やっぱり無理?」


え?


「俺と友達になるの……」


彼がそう言った直後、サァッと冷たい風が私たちの髪を揺らした。


友達……?


この話を聞いても、まだ私と友達になりたいと思ってくれてるの?


「もしもまだ、ほんの少しでも勇気が残ってるなら、俺の手を握って。

そしたらあとは俺が、佐藤さんのことを引っ張るから」


……っ。


そう言われて私はようやく、彼の手を握ることができた。


どうかキミだけは、私のことを裏切らないでください──……。


そんなことを願いながら……。


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