ゴシゴシと近くにあったせっけんで上履きを洗う。
汚れがだいたい落ちたところで、水道の蛇口をキュッとひねる私。
ポタポタと上靴からは水が滴り落ちる。
バケツでその水滴をすくうようにして、教室へと向かう。
そのバケツを所定の位置に戻すと靴を脱ぎ、靴下のまま教室へと上がりこむ私。
「……え?」
だけど私は、すっかり忘れていた。
「茜っち、それどうしたの!?」
彼の存在を──……。
私は慌てて扉を閉めると、すぐにその場から逃げ出した。
「茜っち!?」
教室内から聞こえる彼の声。
どうしよう……、見られた……。
ひーくんに見られた……!



