「……これから痛い目に合わせてやるから」
「……っ!」
耳元でそう呟いたあと、彼女は教室を出ていった。
痛い目に合わせる……?
なに……それ……。
私が呆然と立ち尽くしていると、ガラッと教室の扉が勢いよく開いた。
「茜っちー」
彼女に入れ替わるようにしてやってきたのは、他でもないひーくんで。
私はさっきの言葉に怯えながらも、彼の登場に安堵のため息をこぼす。
「ん?どーした?」
「なんでもないよ」
そう言って、無理して笑った。
思えばこのとき初めて、私はひーくんの前で作り笑いを見せた。
「そっか……」
私の作り笑いを信じたのか、彼も私と同じように安堵のため息をこぼす。
……ひーくんとのことが、まさかあんなことに繋がってしまうなんて……、このときの私は想像もしていなかった。
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