ひとり教室に残された私は、ランドセルを置きに自分の席へ。
中から教科書類を取り出し、一時間目の準備などをしていると……。
「おはよう、佐藤さん」
そう声をかけられた。
その声はとてつもなく低い声で、聞き慣れない声のはずなのに、すぐに誰なのかがわかった私は、振り向くことが怖くてできなかった。
「……ねぇ、こっち向きなよ」
声をかけられてもなお、黙々と授業の用意をする私に、その人はいらだちを隠さずにそう言った。
私は手を止めて、おそるおそる声のするほうを振り向く。
そこには、リーダー格の女の子が立っていた。
腕を組みながら、私を睨みつけるようにして。



