その出来はお世辞にも上手いとは言えないものだったけど、ひーくんの心がこもったミサンガに仕上がった。
「ん!」
完成を喜んでいると突然、ピンク色のミサンガを握りしめた彼が、それを私に向けてきた。
「茜っち!はい、これ。ピンク色好きだったよな?
あんまり上手くできなかったけど、よかったら」
ウソ……、私のためにそんなに頑張って作ってくれていたの?
どうしよう……、少し泣きそうだよ。
「……ありがとう!ひーくん!
私もね、ひーくんに作ったよ!
ひーくんが好きな青色で」
そう言いながら、私も先程完成したばかりのミサンガを彼に手渡す。
「マジで!?
やべー、めちゃくちゃ嬉しい!大事にするな!」
「うん!私も!」
ふたりで笑いあった。
たくさんたくさん、笑いあった。
そう……、そのときはすごく幸せで、これからなにが起こるかなんてちっとも考えていなかったんだ。
.
*
.



